ディカプリオのカタルシス『シャッター アイランド』

palehorse822010-04-10

マーティン・スコセッシ監督の技巧を楽しめる作品。ゾディアック・キラー(『ゾディアック』つながりが3人!)とバッファロー・ビル、メリン神父にガンジー、そしてロールシャッハ(または新フレディ)という面子にしびれる快作だと思います。

(動画の後、ネタバレ注意)

シャッター・アイランド (ハヤカワ・ミステリ文庫)

シャッター・アイランド (ハヤカワ・ミステリ文庫)

今ではカウンセリングと投薬治療が精神医療のメインだそうですが、1950年代のアメリカではブレイン・サージェリー派(要はロボトミー手術)と薬学派が拮抗していたようです。(詳しく調べてませんが…)
コミュニケーションと投薬治療で精神病を治そうとする者の頭に、フロイトの「トラウマ理論」があったことは言うまでもありません。医師たちは、患者のトラウマを探り出し、語らせ、思い出させることで、解決の糸口が掴めると考えます。それで患者が精神分析で言うところの「カタルシス」を得ることにより快方に向かうと言うのです。

シャッター アイランド』でも、クライマックスではやはり「カタルシス」に至るシーンが描かれます。もし、映画がその場面で終わっていたなら、単なるつまらない駄作となっていたでしょう。でもそれは回避されています。結末はものすごく皮肉なものでした。

思い出したのはこの著作です。必読。

〈傷つきやすい子ども〉という神話―トラウマを超えて (岩波現代文庫―社会)

〈傷つきやすい子ども〉という神話―トラウマを超えて (岩波現代文庫―社会)